
こんにちは。長年情シスで働いていフクロウのフクジョーです
「情シスの仕事で一番大事なスキルって何ですか?」
もしあなたが今、そう聞かれたら、何と答えるでしょうか。
サーバーの知識?セキュリティのスキル?もちろん、それらも非常に重要です。
しかし、僕が数年間この仕事をしてきて痛感したのは、ITスキルと同じくらい、いや、それ以上に「コミュニケーション能力」が大切だということです。
この記事は「読めば誰でもコミュニケーションの達人になれるブログ」ではありません。
しかし、
「どうして、情シスの仕事はこんなに人とのやり取りが難しいんだろう…」
というかつての僕と同じ悩みを抱えるあなたのための答えを書きました。
この記事を読めば、なぜ情シスにコミュニケーションが不可欠なのか、そして、明日から実践できる具体的なコミュニケーションのコツが分かるはずです。
なぜ、情シスにコミュニケーション能力が必要なのか?
結論から言います。どんなに高いITスキルを持っていても、
コミュニケーション能力がなければ、そのスキルを活かす場面が訪れないからです。
スキルはあるのに、頼みづらい。話しかけにくい。
これでは本末転倒ですよね。僕たちの「お客様」は、他ならぬ社内の社員なのですから。
お客様が頼みづらいお店に、誰も足を運ばないのと同じです。
情シスの「お客様」は誰か?を意識する
まず、僕たちが向き合うべき大前提からお話しします。
僕たちの「お客様」は、社内の”全員”
僕ら情シスの「お客様」は、社内の社員全員です。
営業部門のように直接利益を生み出す「花形」の部署ではありません。僕たちは、彼らが快適に、そして安全に仕事ができるようにサポートする「裏方」であり、「縁の下の力持ち」です。
この「サポートすることが当然」というポジションを理解することが、全てのコミュニケーションの出発点になります。
お客様との「距離感」が、他のエンジニアとは違う
開発系のエンジニアと僕ら情シスの大きな違いは、お客様との「距離感」です。
社内の人間だからこそ、距離感が近い。
「ちょっとこれ見てくれない?」と、気軽に声をかけられる存在です。顔も名前も知らない相手ではなく、これから長く付き合っていく人たちが、僕たちの「お客様」なのです。
この近さが、親しみやすさにも繋がる一方で、コミュニケーションの難しさの原因にもなります。
対仲間(同僚・上司)とのコミュニケーション術
さて、お客様である社員とのコミュニケーションも大切ですが、同じくらい重要なのが同じ部署内の仲間とのコミュニケーションです。
しかし、ここには一つ、独特の「空気感」が存在します。
コミュニケーションが主体。でも、「接客業」ではない
僕たち情シスの仕事は、コミュニケーションが主体です。しかし、アパレルやコールセンターのような「接客業」とは明らかに性質が異なります。
情シス部門にいる人は、良くも悪くも「ロジカル」な人が多い、というのが僕の実感です。
感情論よりも理屈を重視し、ドライだと感じられる場面もあるかもしれません。
「お客様に寄り添いましょう」という言葉よりも、「会社のルールなので」という説明が優先される。そんな空気感に、最初は戸惑うこともあるでしょう。
「寄り添う姿勢」が、あなたの武器になる
この「ロジカルな空気感」は、決して悪いものではありません。しかし、だからこそ、あえて「寄り添う姿勢」を見せられる人は、部署内で非常に重宝されます。
僕が今まで見てきた中でも、
- 感情表現が豊か
- 相手の話を親身になって聞ける
といった人は、部署内で人気がありましたし、周りから話しかけやすい「ハブ」のような存在になっていました。
技術屋さんだからこそ、ロジカルになりがちな思考の中に、少しだけ「相手の感情を想像する」という視点を加える。
これができるだけで、あなたの部署内での評価や人間関係は、大きく変わってくるかもしれません。
明日からできる、3つのコミュニケーション術
では、具体的にどうすれば、社内の人たちと円滑なコミュニケーションが取れるのでしょうか。僕が日々意識している3つのポイントを紹介します。
とにかく「即レス」を心がける
これは基本中の基本ですが、非常に重要です。
「これやってほしい」「これができない」という問い合わせに対しては、とにかく早く反応する。これが信頼関係を築く第一歩です。
- すぐに解決できなくてもいい
「すいません、今別の作業をしているので、確認が少し遅れます」と一言連絡するだけで、相手の心象は全く変わります。 - SlackのスタンプでもOK
忙しくて返信する時間もない時は、Slackの「👀(見てます)」スタンプを押すだけでも、「あなたのメッセージは無視していませんよ」という意思表示になります。
対面サポートを「面倒くさがらない」
リモートワークも増えましたが、オフィスにいるなら、対面でのサポートを厭わない姿勢が大切です。
テキストのやり取りだけでは、相手が本当に困っている状況はなかなか伝わりません。
「直接画面を見せてもらえますか?」の一言で、メールの往復10回分以上の情報が得られることもあります。
人と話してなんぼ。これが、情シスの仕事の基本だと僕は思っています。
「できないこと」は、正直に、そして丁寧に伝える
情シスへの依頼の中には、どうしても「できない」ことがあります。その伝え方が、あなたの評価を大きく左右します。
- できない理由を明確にする
「できない」には2種類あります。「ルール的にできない」のか、「自分のスキル的にできない」のか。これを明確にしましょう。
「会社のルールで決まっているので…」と伝えるのか、「色々調べたのですが、私の現在のスキルでは解決が難しく、もう少しお時間をください」と伝えるのかでは、相手の受け取り方が全く違います。 - 「できない」で終わらせない
ただ「できません」と伝えるだけでは、相手を突き放すことになります。「できませんが、代替案として〇〇はいかがでしょうか?」と、相手の目的を達成するための別の道を提示する。この一手間が、あなたの評価を「融通の利かない人」から「頼れる相談相手」へと変えてくれます。
【実践編】新人がつまずく2つの壁と、その乗り越え方
ここまで、情シスのコミュニケーションの基本的な考え方についてお話ししました。
しかし、理論はわかっていても、実践となると難しいのが現実ですよね。特に、僕が新人時代につまずいたのは、以下の2つの壁でした。
- 壁①:「問い合わせ洪水」の壁
- 壁②:「NGワード」の壁
ここからは、これらの壁をどう乗り越えればいいのか、僕なりの具体的なテクニックと考え方をお話しします。
「問い合わせ洪水」に溺れないための、3つのテクニック
「即レスが大事」と言われても、チャットと電話が同時に鳴り、目の前にも人が並んでいる…。そんな「問い合わせ洪水」状態では、パニックになってしまいますよね。
そんな時に自分を守り、仕事を円滑に進めるためのテクニックが3つあります。
- 気負いすぎないマインドを持つ
まず大前提として、完璧に対応しようとしすぎないことが大切です。100%完璧な対応を目指して気負いすぎると、パンクしてしまった時に自分が辛くなります。時には「その時はその時」と、少しだけ軽く考える。これは、長く仕事を続けていく上で、自分を守るための大切なマインドセットです。 - 周りの力を借りる勇気
責任感が強い人ほど、一人で抱え込みがちです。僕もそうでした。しかし、一人でできることには限界があります。
同僚や、時には後輩に「ごめん、今手が離せないから、これお願いできる?」と頼ることは、責任放棄ではありません。むしろ、チームとして現場を回していくための、非常に重要なスキルです。 - ツールの力を活用する
Slackを使っているなら、予約投稿機能は非常に便利です。手が空いた時に返信をいくつか仕込んでおけば、自分が休憩中や他の作業に集中している時でも、自動で対応が進みます。ツールを賢く使うことで、心の余裕が生まれ、結果的に「即レス」できる場面も増えていきます。
「これを言ったらアウト」は、実は存在しない?
「これを言ったら失礼にあたるのでは…」というNGワード、気になりますよね。
しかし、僕の結論としては、「一概にこれがNGワード、というのは存在しない」と考えています。
- 重要なのは「相手との距離感」
言葉の意味は、相手との関係性によって全く変わってきます。初対面の人にタメ口で話すのは失礼ですが、信頼関係のある先輩に少し砕けた言葉を使うことで、むしろ円滑に仕事が進むこともありますよね。
「この人とはどういう距離感か?」を常に意識し、相手の”人となり”を知ろうとすることが、言葉を選ぶ上での一番の近道です。 - どうやって距離感を測るか?
これが一番難しいのですが、結局は仕事以外の場での交流が鍵になることもあります。飲み会や社内イベントに顔を出してみるのも、意外なスキルアップに繋がるかもしれません。
仕事のスキルを、仕事の中だけで磨こうとしない。この視点を持つことが、コミュニケーション能力を高める上で、案外大切だったりします。 - 最低限の基本を守れば大丈夫
もちろん、暴言を吐かない、敬語を正しく使うといった社会人としての基本は大前提です。
特に社長クラスからの依頼であれば、他の社員よりも優先して対面で対応しに行く、といった判断も時には必要でしょう。
しかし、それらの基本さえ守っていれば、普通の社会経験を積んだ人なら、大きく問題になるような失言はしないはずです。あまり心配しすぎず、常に相手を尊重する気持ちを忘れなければ、大丈夫です。
まとめ
この記事では、情シスの仕事におけるコミュニケーションの重要性と、その具体的なコツについて、僕自身の経験を交えながらお話ししました。
最後に、一番大切なことを繰り返します。
どんなに高いITスキルも、それを使って「誰かの役に立ちたい」という気持ちと、それを伝えるコミュニケーション能力がなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。
僕たちの仕事は、PCやサーバーと向き合うことだけではありません。その先にいる「人」と向き合うことこそが、情シスの本質なのかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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